灯の中心


家の中心、火の中心、灯の中心、食の中心。これが人の集いとなるように設計を心がけています。必ずしもnLDKが人の家での行いを受け止める正解ではないということかもしれません。囲炉裏はまさに火、食の中心。囲炉裏の上部には、イサムノグチの巨大な提灯をぶら下げていました。これで灯の中心となり、人の集いとなります。

囲炉裏を薪ストーブに改造するにあたり(囲炉裏の暖として火の問題点あり)、その中心に煙突が必要となります。煙突は上昇する煙の象徴と捉えたくて、安易に曲げることなく垂直に昇っていくべきと考えました。曲げることで屋根の工事が不要になったり、提灯がそのまま活かせたりとそれなりの利点はあるのですが、一方で、素直な上昇気流への妨げや、煙道のススの溜まり易さにも影響します。

煙突は火の中心と不可分。その煙突があったとしても灯の中心でありたいと、必然的にドーナツ型となり、提灯の作り方を応用して、提灯の上とし下を閉じて輪っかにしました。難しかった点は2点。重力に任せて端部で吊り下げる提灯と異なり、水平に吊ることと、電球のメンテ用にと提灯の脇腹に穴を開けなえればならなかったこと。ドーナツ形状を維持するため、提灯内部にアクリルのリングを挿入しなければならなかっとこと。施工には手間取りましたが、できてしまえば、ドーナツ型の提灯。煙突の垂直性を歪めず、灯の中心ができました。ドーナツの真ん中が抜けていることが、単なる意匠上の問題ではない必然があるというのがいいと思います。


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